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50年続く小さなダスキン加盟店の創業者ヒストリーVol.4です。

 

 

目次

【前回の振り返り】加島屋の台所事情

前回の記事はこちらをクリックして下さい。
https://www.jyohoku.com/2017/01/23/1937/

前回は、一見すると大きな商売をやっているように見えた創業者の生家『加島屋』も、実は厳しい台所事情であったこと。

その環境で育ったことが、創業者が独立したときの経営感覚に非常に大きな影響を与えたのではないだろうか?

 

 

加島屋の親父に学ぶ付加価値の創造

以前より記述している通り、創業者が生まれ育った生家である『加島屋』は、主に店舗がメインのビジネス形態でした。

野菜・果物・お菓子・酒・しょう油・塩・ジュースを売りながら、馬車馬の水分補給の休憩所、2階ではちょっとした料亭として料理を提供するなど、店舗としての売り上げが主な収益源となっていました。

ただ、それだけでは収入が安定せず、収益が非常に厳しい時代でした。

創業者の記憶では、母親は店舗の運営を切り盛りしながら、店が終わると着物の繕い針仕事、夜中にはリヤカーを引いて芋の買い出しなどを行いながら、6人の子供を育てたそうです。

まさに、寝る間も惜しむ働きで、母親本人も「寝る時間は3~4時間だよ」と、いつでも言っていたそうです。

 

 

父親は山師・テキヤ・仲買・何でも屋で価値を現金化

母親は睡眠時間3~4時間で朝から夜中まで忙しそうにしていたのに対して、父親の役割は何だったのかを聞くとこれがまたユニークでした。

創業者の父親(私から見た祖父)の仕事は、まさに「何でも屋」だったそうです。

いつもはぶらぶらしていて、店舗の真ん中で火鉢を抱えて、タバコをプカプカ吸いながらも仕事の話を聞いた途端、着物のすそを帯にねじ込んで、自転車でどこまでも走って駆け付けました。

その仕事というのが、現代風の言葉で言うところの山師・テキヤ・建築業・燃料屋・仲買・材木屋などに相当する何でも屋でした。

 

 

何でも屋の付加価値創造と現金化

仕事と趣味の大きな違いは、価値を現金化ができるかどうかです。

つまり、費やした労力に対して報酬を得られるかどうか。

さらに言えば、それで生計を成り立たせることができるかどうかですね。

「趣味と実益を兼ねる」とか「二足のわらじ」という言葉がありますが、それはきちんと収益を生んでいるかどうかが大切なポイントになっています。

加島屋の山師業

山師というのは、立ち木などを買って、それを切り倒して、木の種類によって必要なものを加工しながら転売などをする商いです。

創業者の父親は、樫の木などを切り倒すと、杵・臼・麺棒、麵打ち板などを加工して、製品にならない部分は薪として売っていました。

加島屋の建設業

創業者の父親は、古い家が壊されると聞くとすっ飛んでいって買い取っていたそうです。

壊れた家から出る廃材からまだ使える材料と使えない材料に分別して、まだ使える材料を生かしながら極力新しい材料を少なく用いる工法で家を建てたそうです。その建築費を安く抑えた家を知人に売って、価値を現金化していました。

創業者は父親から「今度の家は500円でできた」とか「あそこは1,000円かかった」という話を聞かされていたこどが思い出だそうです。

加島屋の燃料業

立ち木や取り壊した家から出た材料で製品にできない部分や新しい家の建築に使えない部分は、薪にして売っていました。

また、薪からさらに加工される、炭団(たどん)・炭・練炭と言われる燃料も売っていました。

加島屋の仲買業

仲買業とも骨董屋とも言えるのかもしれませんが、古くて取り壊す家や倒産した家には家財道具が残っている場合があったそうです。

古い家が取り壊される際に廃材と一緒に残った家財道具に値をつけて引き取ってきて、いくらかの利益を乗せて転売していたそうです。

古い壺やランプ、日本刀など様々なものが売り物として、買い手が見つかるまでの間、家の中で保管されていたこともあったようです。

 

 

まとめ

創業者の父親(私からみた祖父)は、商売のセンスがありました。

ただし、前回の台所事情でも書いたように、決して裕福ではなく、本当に薄利多売の商いだったと思います。

私が創業者から話を聞いて感じることは、当時から『付加価値』をよく理解していたなということです。

立ち木や廃材のままなら何も価値はないけれど、杵・臼・麺棒・薪・炭・練炭という加工品にして価値を生み出しました

仲買業の家財道具には元々価値があったかもしれませんが、そのまま放っておいては誰もその価値の存在に気付きません

自分が引き取って手入れをして買い手を見つけることによって、その価値はさらに上がります

これは現代の人にも求められる視点です。

逆に現代の人でも私を含めて、その価値を見抜く目を持っていない人が多数です。

こうして自社の強みを棚卸しすることにより、私はそこに気付きました。

これからは価値を見抜く目を養い、自分の頭で考えることによって、祖父から父へと伝えられた商いの基本を改めて学んでいきます。

50年続く小さなダスキン加盟店の価値を見直すシリーズ
続きのその5はこちら

https://www.jyohoku.com/2017/03/17/2285/

 

 

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私からのメッセージ

鯨井 悟
鯨井 悟
『人としての生きる道』と『健全な経済活動』の調和・融合、両立を目指して、
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